2009年05月13日

2008世界大会を振り返って

世界大会を振り返った感想を少々。

今回、日本はアルティメット6部門で金1(ジュニアウイメン)、銀2(ウイメン、ミックス)、銅1(オープン)と言う結果だった。
メダルが取れなかったのは、マスター(10チーム中6位)とジュニアオープン(8チーム中8位)。

選手はみんな全力を尽くしていたし、この結果は誇ってよいと思う。
ただ、日本のアルティメットを将来を考えると、うかうかしてられない、というか危機感が必要である。

オープンとウイメンに関しては、ドリームカップでのSockeye(=オープンアメリカ代表)とFury(=ウイメンアメリカ代表)の来日&対戦もあり、かなり研究・対策をされていた中での結果であった。

自分が2001年に北米に渡った時は、日本の選手のことは誰も知らなかったが、今では、●番のあいつはすごい身体能力だ、とか、●番は良いスローワーだね、とか、●番のプレーは大好き、とか、北米のプレーヤーでも日本選手のことをよく知っている。

裏を返せばそれだけ注目されて研究されていたのであった。
試合をよく見ることができたオープン準決勝の日本vsアメリカはそれが顕著だった。
2007ECCや2008ドリームカップで通用していた様な日本の得意なプレーが全て消されて、人と人との勝負になっていた。

ミックス日本代表もオープンほどではないが、決勝戦では研究され、対策を練られ、それに対応できずに完敗した。
やはり自分より体の大きい外国人相手に1対1の力勝負だと部が悪い。

しかも北米はしょっちゅう強豪チーム同士で対戦があり、お互いの手の内を知り尽くしているので、いつも力勝負のガチンコ対決をしていて、こうなるとめっぽう強い。

対策を練られた後に、さらに相手振り切れるカード(戦術・技術・身体能力)が無いと今回負けたアメリカ・カナダに勝つことは難しいだろう。

そのためには、北米の様に、国内でレベルの高い争いが必要なのだが、ウイメンは良いのだが、オープンは危機的である。
文化シヤッター・バズバレッツが前人未到の10連覇を成し遂げ、それに本当の意味で対抗出来るチームが全くいない。

オープンの銅メダルは日本の実力では無く、文化シヤッター・バズバレッツ単独チームとしての実力と言い換えても過言では無い。
しかも、次世代を担うジュニアオープンは参加チーム中最下位。
(参加した選手は本当に頑張っていたし、みんなベストを尽くしていた)

では、どうすればよいか?
簡単に言うと、若手の育成である。
長期的に見れば、10代の選手の育成、高校生への普及が必要不可欠である。

アメリカでは、高校生の大会でも1次予選・2次予選、そして本戦があり、合計約100チームの参加がある。
これはすごい。1チーム10人としても、1000人の高校生プレーヤーがいるのだ。
アメリカの強豪チームSockeyeには17歳でチームに加入した将来有望な高校生もいる。
UPA主催でスキルアップクリニックなども開催されており、積極的に育成していこうという姿勢が感じられる。

それに対して日本はというと、高校生のチームはほとんどなく、大会は開くことが出来ない。
まずは、普及が先だろうが、将来的には大会を開催し、選手を育成していかないと、アメリカ・カナダと日本の差はどんどん開いていってしまうと思う。

一方、現役のプレーヤーはどうすれば良いか?
とにかくアルティメットについて考えて考えて考えて、練習し、プレーすることが大切だと思う。

究極的に言えば、単純にスピードやパワー・体格では、日本人は外国人に絶対勝てないと思う。
もちろん一部にはフィジカルで勝る日本人選手もいるが、そんな選手が全員揃えられるわけでは無い。

最近見たイチローのインタビューで新鮮だったのが、「アメリカ人のポテンシャル(身体能力)は凄い。ただココがね。」と言いながら、頭を指さしていたこと。

そしてこう続けた。「彼らがもし頭を使える様になったら、絶対かなわいな、と今でも思ってますよ。」と。

あのイチローでさえ、アメリカ人の身体能力には敵わないと思っている
のだ。これは驚きだった。
彼が野球を考えて考えて考えてやっているんだなぁと思った。

単純に言えば、アメリカ人の国民性は、ドーンとにかく早い球を投げて、ドカーンととにかく遠くに飛ばそう、ということ。
イチローの様に内野ゴロでもヒットにするとか、つまってもポテンヒットを狙うとかいう考え方は無いのだ。

そういえば、アルティメットも同じだということに気づく。
簡単に言えば、ガーッと走って、ビューンと投げて、ガシッと取る、みたいな。
バズバレッツでプレーした後、フュリアスジョージに移った後、その当時はフュリアスの方が全然レベルが上だったのに、戦術面ではバズバレッツの方が数段も考えていて洗練されていた。

それは、今住んでいるサンフランシスコのJAM(2008UPAクラブ選手権優勝)でも顕著である。
奥にオフェンスが走り込んでいたら、とにかく投げ込む。
風が少し吹いてようが、ディフェンスがついてようが、お構いなしだ。
パワーで風を切り裂き、球際の強さでオフェンスがキャッチしてしまう。

もちろん、これは大雑把にした話で、細かい部分はいろいろ戦術もあるのだが、あながち大きく外れている訳でもない。
こういうチーム&選手相手に、体格で劣っている日本人が真っ向勝負を挑んでも部が悪いし、勝ち目が薄い。

ここでイチローの話である。
ホームランで無くても塁に出ればいいのだ。
ダイナミックなロングシュートでなくてもパスが繋がり結果的にスコアできれば良いのだ。
盛り上がるダイビングブロックでなくても、プレッシャーで相手がミスしてくれれば、同じターンオーバーなのである。

練習でも試合でも、とにかく考えて考えて考えること。

ディスクの狙いどころが体の右側か、左側かでパスが通った次のプレーがさらに繋がるかが変わってくる。
ポジショニングが1mいや50cm違うだけで、オフェンスを抑えられるかどうかに影響がある。

これはほんの一例だが、こういう小さなことの積み重ねが、大きな結果となって現れる。まさにちりも積もれば、なのである。
これが出来てくれば、自然と国内のレベルも上がってきて、文化に追い付くチームが出てくる可能性は十分にあると思う。

ウイメンは国内で強豪チームがひしめき非常に良い状態たが、やはり、ガチンコの力勝負では体格的に不利なことはオープンと変わらないので、この「考えること」はさらにレベルアップするために、もう一つ、いい色のメダルを獲得するためには必要不可欠だと思う。

感想を少々、と言いながら、書いているうちに熱くなり、長くなってしまった。
読んで不快に感じた方がいたら、本意では無いので、お詫び致します。
日本のアルティメットの将来を案じるアルティメットチャレンジャーの戯言としてご了承ください。

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posted by Ultimate Challenger at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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